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2019年の「こもレクチュール」を振り返る

  • こもれびスタッフ
  • 2019年12月14日
  • 読了時間: 4分



 こんにちは。ことばの本屋Commorébi(こもれび)店主の秋本(筆名)です。このブログでは基本的に本の紹介をすることにしているのですが、今回は年末ということで、2019年の「こもレクチュール」を振り返ってみたいと思います。


 7月20日に第1回を開催した読書会「こもレクチュール」は月に1度のペースで続き、12月には第6回を開くことができました。これはひとえに、会に足を運んでくださった皆さまのおかげです。本当にありがとうございます。改めてお礼申し上げます。


 「こもレクチュール」についてツイートなどをする際、(その時々で少しずつ表現は異なりますが)「”好き”な本を持ち寄って、それを交換して黙々と読む」会だと紹介しています。この形式にしたのは、課題本を読み込んで発表をする読書会に対して個人的に高いハードルを感じてしまう、というところが大きいです。普段から言葉が出てきづらい私ですが、そういった場になるとなおさら言葉は出てきてくれず、置物と化してしまいます。ですから、そういった私でもリラックスして楽しめる、という何とも独善的な理由から、「発表しない」読書会としたのでした。


 6回開催するうちに気づいたことがいくつかありました。


 ①「好き」について語ることはそれだけで自己紹介になる

 毎回はじめに、ごく簡単な自己紹介と、「その本のどこが”好き”か」をお話しいただいています。それは、短い間ながら同じ場で時間を共有する人たちのことを少しでも知った方が良い会になるだろうという理由と、「好き」の理由は様々だからという理由から。とくに後者にはこれまた個人的な思いが反映されていて、本を好きになる理由というのは必ずしも内容に限らず、例えば装幀であったり手触りであったり、出会ったときのエピソードであったりなどなど、読んだだけでは分からない理由もあると思っています。そうしたことも含めてそれぞれの「好き」を知りたいと思うのです。


 そしてそれを実践していただくに至ったわけですが、何が「好き」か、どこが「好き」かを語ることはそのまま、その人がどのようなものに価値を見出しているかを語ることにつながります。つまり、所属や仕事内容などの属性を語るよりもよほど雄弁な自己(の内面)紹介になるのですね。


②誰かの「好き」は他の誰かの「好きではない」であり得る

 これはまだ起こっていない事象ではあるのですが、極端なことを言ってしまえば、だれが「好き」と思っていることは必ずしもその場の全員に共感される保証はなく、場合によっては他の誰かの「好きではない」である可能性すらあります。

そのことに気づいたのは、こもれびのご近所、早春書店さんの店主であるコメカさんによる以下のツイートを目にしたときでした。



「ぼくはだから、「好き」が重ならない人たちがノイズ混じりで一緒に話せる場所が必要だと思ってるんですけどね。」


 同じ「本好き」と言っても、いや、むしろ本というジャンルもデザインもかなり細分化されたものだからこそ、実はかなり「ズレ」が生じやすいのかもしれません。

ですが、「好き」を持ち寄る場として開催している読書会なのですから、そこはやはり、仮に自分の「好きではない」ものに出会ったときでも「なるほど、こういう点に魅力を感じるということもあるんだな」といったように、互いに理解を示せる場でありたいのです。そしてそのためには、最初の自己紹介を兼ねた「好き」ポイントの紹介タイムが有効に機能すると思っています。


 ですからぜひ、これからはじめてご参加される方も、「自分の好きな本がその場に馴染まなかったらどうしよう」とはお思いにならず、ご自身の「好き」に自信をもっていらしていただければと思うのです。


※ ※ ※


 そんな読書会「こもレクチュール」、次回第7回の開催は1月18日(土)の16時~18時です。第6回までは特にテーマなどは設けていなかったのですが、年も改まることですから少しばかりのリニューアルをしてみようと思い立ち、次回からはテーマを設けてみます。


 第7回のテーマは「新」。「新年」の「新」です。ただ、テーマと言ってもご覧の通りとても抽象的な言葉を選んでいます。「新」にもいろいろありますので、「内容が新しい」「デザインが新しい」に限らず、「古くて新しい」「新聞に載っていた」「明治維新に関する本」など、かなり飛躍したものでも大丈夫です。むしろ、いかにそのようなアクロバティックな論理づけをできるかを楽しんで、それをご披露いただければ、とさえ思っています。


 ですが、どうしても「新」に結び付けられないけれども紹介したい本がある、という場合もあると思います。その際はどうぞご自由にお持ちください。


 ぜひ、皆さまのお越しをお待ちしております。お申し込みは こちら もしくは メール にてどうぞ。


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